Exchange 2010「免責事項」と Outlook の「署名」の使い分け
Exchange Server には「免責事項」を挿入する機能があります。
赤枠みたいなの↓
免責事項は、トランスポートルールとして「免責事項のテキストを追加し、適用できない場合は、フォールバック アクションを行う。」を選択することで実装できます。
免責事項の内容は Outlook の「署名」機能のように、自由に書き込むことができ、画像なども扱えます。
これは、Exchange Server 側での処理となりますので、ユーザーが本文内に記載する必要がなく、特別注意事項などを意識せずとも、一言注意文を添えられるという事で、重宝してる企業も多いのではないでしょうか。
Exchange 2010 では、下記手順で実装可能ですのでご参考までに記載します。
■免責事項のトランスポートルール設定手順
1.Exchange 管理者権限を持っているユーザーアカウントで Exchange Server にログインします。
2.Exchange Management Console を起動します。
3.[Microsoft Exchange On-Premises]-[組織の構成]-[ハブトランスポート]を順にクリックします。
4.「トランスポートルール」タブをクリックし、[トランスポートルールの新規作成]をクリックします。
5.トランスポートルールの新規作成の画面にて、[名前]にルール名を記入し、[次へ]をクリックします。
6.
1)ステップ1:「条件の選択」にて「メッセージを組織の内部または外部、あるいはパートナーのユーザーに送信する場合」の条件にチェックをいれます。
2)ステップ2:下線付きの値をクリックして「組織内」をクリックします。
※後程「組織外」も選択したトランスポートルールをもう一つ作成頂ければ、組織内外送信時に適用されるルールとなります。
7.[次へ]をクリックします。
8.
1)ステップ1:処理の選択にて「免責事項のテキストを追加し、適用できない場合は、フォールバック アクションを行う。」にチェックいれ、
2)ステップ2:下線付きの値「免責事項」をクリックし、任意の文章を記入後、「OK」をクリックします。
3)ステップ2:下線付きの値「ラッピング」をクリックし、「拒否」に変更後、「OK」をクリックします。
9.[次へ]をクリックします。
10.例外条件があれば、設定し、「次へ」をクリックします。
11.[新規作成]をクリックします。
12.[終了]をクリックします。
13.テストメールを送信し、メール本文の文末にトランスポートルールで設定した任意の文章が挿入されているか確認します。
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ところで、実は、やや似たような事は、Active Directory のグループポリシーによっても実装する事が可能です。
この時点でピンと来た方もいらっしゃるかもしれませんが、グループポリシーで、署名を強制的にONにし、かつ、署名の本文ファイルを各ユーザーのユーザープロファイル内に配布する事で、企業指定の署名という扱いをすることができます。
GPOで操作するレジストリはいくつかございますので、詳細は下記マイクロソフト社のナレッジをご覧ください。
How to deploy a default email signature in Outlook
https://support.microsoft.com/ja-jp/help/2691977/how-to-deploy-a-default-email-signature-in-outlook
ごく簡単に流れだけ説明します。
1.次のレジストリキー「HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Office\x.0\Outlook\Setup」にある、「First-Run」の値を削除するGPOを作成。
※x.0はお使いのOutlookのバージョンによって異なります。
Outlook 2016 = 16.0
Outlook 2013 = 15.0
Outlook 2010 = 14.0
Outlook 2007 = 12.0
2.GPOで、署名に使用する署名ファイルを下記ディレクトリに配布する。
%userprofile%\AppData\Roaming\Microsoft\Signatures
%userprofile%変数を使わない場合↓
C:\Users\UserName\AppData\Roaming\Microsoft\Signatures
※署名ファイルは、 Outlook クライアントで署名を作成して、Signaturesフォルダに生成することもできます。
3.上記署名ファイルを利用するようGPOで下記レジストリを設定。
レジストリキー
HKEY_CURRENT_USER\Software\Policies\Microsoft\Office\x.0\Common\MailSettings
値
NewSignature
Type: REG_EXPAND_SZ
Value: The name of signature to use for new messages (see step 3 above for signature names)
ReplySignature
Type: REG_EXPAND_SZ
Value: The name of signature to use for reply messages (see step 3 above for signature names)
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さて、ここからがタイトルの件になりますが、
ではいったい、免責事項と署名は、それぞれどのような特徴があるのでしょうか?
運用を決めるのは組織ですので、私からは、どちらが良いとは申し上げられませんが、それぞれにどのような特徴があるか、見ていきたいと思います。
1.運用担当者
■免責事項:Exchange Server 担当者
■署名 :Active Directory 担当者
2.強制力
■免責事項:強制。送信時にExchange Server 側で挿入される為。
■署名 :メール作成時には挿入されているが、その後ユーザーが操作出来る。
3.デメリット
■免責事項:免責事項の位置を最下段にすると、返信の度に挿入される。
※例外条件などを設ければ回避出来ますが、署名のように、返信時に、過去履歴の上から挿入されるわけではなく、過去履歴も含めた最下段に挿入されます。Outlook 側の設定で、「元のメッセージを残す」設定をしていなければ問題なしですが、デフォルトでは「元のメッセージを残す」が有効になっています。
■署名 :GPOで定義されてしまう為、ユーザーが Outlook の署名設定をいじれなくなる。
4.メリット
■免責事項:送信時の他、受信時にも Exchange Server 側で挿入することも出来る。
※例えば、「添付ファイルのウィルスに気を付けて下さい。」等の文言を入れる、等。
■署名 :新規作成と返信時で、文言を分けて設定できる。
5.共通事項
免責事項が設定されていても、署名は別途設定できる。
逆もまたしかり。
いかがでしたでしょうか。
運用の際、ご参考になれば幸いです。